「フォーカシングから見たゲシュタルト療法」の続き、後半部分です。
久松「かずりんはゲシュタルトをやっていて、その中でたとえば池見先生とであったりして、フォーカシングも面白いなって感じたわけでしょう? どんなきっかけがあって、どんなところに関心があるの?」
白坂「ゲシュタルト療法学会の鹿児島大会の時に池見さんがゲストで来たんじゃないかな。7年位前。霧島の旅館を借り切って温泉に入った学会。きゅうちゃん(久松)もおったやんな。私は理論がっていうよりは人間に惹かれるから、ゲストできた池見さんが、人間は有害物質ですなんて言うことを言っていて、面白いこと言う人や なと思ったのを覚えてる。そういうところに惹かれて、そこからフォーカシングに興味が向いた。池見先生のワークショップやサンガに参加していると、聞きたいことがあったら聞けばいいんじゃない、て感じでしょ。自由でいいんだって。
筒井「そういう意味でかずりんへの池見先生の影響って大きいよね。何が変わった? 池見先生で」
白坂「ゲシュタルトは本があまり日本に入ってってきていないからどうしても直面するっていうイメージが強いからね。でもそんなこと言ってないってのは、今になったらわかるんやけど、私、再決断療法から入ってるから。
私の認識では、フォーカシングって、距離を置くってことかな。スペースを取るというか。体験的距離。でもゲシュタルトのセッションでも、暖かい感じになって、安全を感じるから、安全な場になると自然に出てくる。だから、直面させないといけないというわけじゃない。それは、パールズのやり方を変に真似しただけ。
フォーカシングは距離を置くっていくことをするじゃない。その辺はゲシュタルトで概念化されていないところかもしれない。自分の安全な場所を自分で知るというか。だって座る位置だって、無意識のうちに安全で居心地の良いところを選んでるでしょう。そうじゃない人もいるかもしれないけど。ゲシュタルトって、ワンセッションでなんとかせなあかんみたいなところあるやん」
久松「グループでワークショップ形式でやると、ワンセッション完結、みたいなイメージはあるねたしかに」
白坂「池見さんは、そんな感じじゃなくて、このまま瞑想しておきましょう、って感じのときもあった。池見さんと百ちゃんがコラボしたときに、私が遅れて行ったら、池見さんが、ぼく役に立たないからかずさん変わってよって笑。何言ってはんのこの人って笑。面白かった。百ちゃんは年上だからか、自分がっていう責任感があるやん」
久松「池見先生には責任感ないの?笑。いい意味で、肩の力の抜け加減がすごいよなと思うけど」
白坂「百ちゃんにもそういうところあるよ。まかせたら好きにしてって感じで。面白かったのはコラボのときに、百ちゃんがチェックアウトのときにミカン食べ始めて、はよ終われみたいな笑。池見さんもおんなじカッコして。
百ちゃんはフォーカシングとゲシュタルトの違いを対照的に際立たせようとしてわざとダイナミックにやっていたところがあるんじゃないかなと思う。池見さんは対話でね。あれは面白かった」
梅村「私はそのワークショップ参加してたけれども逆にね、フォーカシングとゲシュタルトってすごく共通点があるんだと思った。静かなゲシュタルトが池見さんで、動的なフォーカシングが百ちゃんだなぁって」
白坂「創始者の思いとか体験の違いもあるのかもね。哲学的なところや、人生の違い。でも私は、池見さんと出会ってより深まったと思う。選択肢が増えたというか。より人の理解が深まった。日本を知るのに、海外にいったらよくわかるみたいな」
梅村「かずりんの中で、フォーカシングと出会ってより深まったというか、広がったところで具体的にどんなところ?」
白坂「なんか、後やっといてってところがあるやんか笑。フォーカシングというより、池見先生やな笑。今日だって小グループに分かれてCFOしてより深まったじゃない。別に私がやらんでもいいんやって。神田橋先生も書いてるけど、治療者じゃなくって、そこにあるコミュニティが大事なんだって」
久松「フォーカシングは、体験的距離を取るということでもあるし、手を離して委ねるってことでもあるのかな。後やっといてって、投げ出す笑。
三十分もテープ起こしするの大変やから、そろそろまとめに入ってよ」
筒井「まとめられへん笑。でもかずりんが言うように、ジェンドリンとパールズの生きた歴史、プロセスが違うから、当然違うよね」
白坂「そこがやっぱり哲学。その人が生きた生き様や思想が出るから、そこが違い」
筒井「そうそう。そしてそこに改めて戻る。ゲシュタルト療法はこうするんです、じゃなくて。だって結局、やっていくのは自分なんだから、自分に生きたプロセスとして、自分療法を作るのが大事」
白坂「比べるのも面白いし、比べることによって違いがわかるし、統合されていくところもある」
久松「けっきょく自分の生き方とかありようと統合されていかないと、どんなアプローチも浮くわけだから」
白坂「そこが共通点やね。実存ということ」
テープ(ていうかスマホ)には録音されてなかったのですが、この後、ナチスドイツの時代、パールズはすでに成人していて、一方ジェンドリンは子ども時代を過ごしていたんだよね、どの年代で体験したかによってもちがうんだろうな、なんてことを話していた記憶があります。