
「カウンセリング(心理療法)」というと、カウンセラーとクライエントが1対1で話し合うというイメージがあると思います。
でも、カウンセリングには、個人セラピーというかたちで行うものもあれば、カップルや家族、あるいはグループで行うものもあります。
ゲシュタルトネットワーク関西では、個人カウンセリング(セラピー)も実施していますが、グループでのセラピーを定期的に開催しています。
ここでは、グループ・カウンセリング(ゲシュタルトセラピー)の特徴や、どんな人に向いているか、グループで行うことのメリットなどについて、ご紹介したいと思います。
グループ・カウンセリング(セラピー)とは
グループ・カウンセリング、あるいは集団精神療法(Group Psychotherapy)は、第二次世界大戦のときにイギリスなどで、戦争神経症の治療として始まったとされています。
アメリカでは、カール・ロジャーズが、人間の心理的な成長や自己実現を目的として、エンカウンター・グループを行ってきたという歴史があります。
ロジャーズのエンカウンター・グループのように、時間と場所以外は、テーマや構成などを決めずに、自由に進められるグループもあります。
また、集団認知行動療法や、ソーシャルスキル・トレーニング(SST)のように、プログラムが定められているグループもあります。
アダルトチルドレンやアルコール、薬物などの自助グループも、広く行われています。
ゲシュタルト療法は、個人セラピーでも、グループでも活用されていますが、エンカウンター・グループと同じ1960年代に、人間性回復運動(ヒューマン・ポテンシャル・ムーブメント)の時代潮流の中で発展してきたという経緯があります。
人間性回復運動は、アブラハム・マズローが心理学の「第三勢力」と呼んだ、人間性心理学との関連が深いもので、その後、トランスパーソナル心理学、ポジティブ心理学などにも発展していきます。
こうしたムーブメントでは、個人の病理やコンプレックスではなく、人間の幸福や創造性、自己実現といった側面が注目されました。
グループ・カウンセリング(セラピー)のメリット
グループよりも個人カウンセリングの方がいい場合ももちろんあります。
うつ病やPTSDなどの精神疾患の症状が重いときは、医療の枠のなかでの治療が優先されます。
対人関係への不安や緊張が大きくて、集団に入れないというときにも、個人カウンセリングが適しているでしょう。
その人の性格や考え方によっても、「グループに参加するよりは個人カウンセリングがいい」ということもあります。
けれども、グループでおこなうカウンセリング やセラピーには、他にはない大きなメリットがいくつもあります。
ひとつは、自分の悩みやテーマを他のメンバーと共有できるということです。
カウンセラーとの関係は、「支えるー支えられる」「聴くー話す」といったかたちになりがちですが、グループだと、メンバーがお互いに支えたり、支えられたり、といった相互交流が生まれます。
グループのメンバーとのかかわりは、仕事や家族、ご近所の関係とはまた違って日常での接点がないですし、「グループの中で語られたことは他で話さない」というルールがありますので、個人的な悩みごと相談ごとも安心して開示しやすいと言えます。
また、年齢や性別、職業、人生経験などが異なった人たちが集うので、多様な視点や価値観、生き方に触れて、必要であればそれを取り入れるといったことも可能になります。
個人カウンセリングと比べると、グループはより実社会に近いと考えられます。
その中で、他者との関わり方や、自己開示、自己表現の方法などを学こともできます。ゲシュタルト療法では、「実験」といって、これまでとは違うやり方を試みてみるということがしばしばファシリテーターから提案されます。言葉で語ることによる洞察だけでなく、新しい気づきを実際の人間関係の中で練習したり、実験してみることで、体験しながら成長していくことが期待できます。
ゲシュタルト療法では、他のメンバーが、ファシリテーターとワークしているあいだ、基本的には他の参加者はそれを見守ることになります。
クライエントが語ることと重なる自分の体験が、感情をともなって思い出されることもあります。まったく関係ないように思えるけど、なぜかこんなことを思い出した、なんてこともあります。
そこから気づくことも多いし、ときに人のワークを見ているうちにいつのまにか自分の気がかりが解消されたりもします。
カウンセラーやセラピストになりたいという人にとっては、ファシリテーターのかかわり方を目の前で見ることができるのはいい学びとなるかもしれません。
ゲシュタルト療法のグループの特徴
ゲシュタルト療法と比較されることも多いエンカウンター・グループでは、ファシリテーターとメンバーは円座に座って、決められた時間と場所を共有します。非構成のエンカウンター・グループでは、ファシリテーターはメンバーやグループに積極的に介入するというよりは、グループ自体の動きを見守るという役割を取ることが多いかと思います(もちろん、状況によってはファシリテーターが介入することもあります)。メンバーは、話したいときに話すので、この時間は○○さんのワークをする時間、と決まっているわけではありません。
一方、ゲシュタルト療法のグループでは、「セラピー・イン・グループ」といったかたちを取ることが多いのが特徴です。「ワークをしたい人」が手を挙げて、グループの円の中にファシリテーターと二人で座ります。そこで、一定の時間、個人の心理的なテーマに取り組むことになります。グループの円の真ん中は、「ホットシート」と呼ばれています。言ってみれば、舞台に上がるような体験で、そこにスポットライトとメンバーの注目が集まるわけですので、「ホット」な場になるわけです。
ファシリテーターの判断やクライエントの希望によって、他のメンバーがこの「舞台」に招き入れられることもあります。
ゲシュタルト療法は、演劇的な手法を多く取り入れていますので、たとえば「父親役」「母親役」「上司の役」などがメンバーに割り振られて、サイコドラマ風に「今・ここ」で、体験が再演されることがあるのです。
それだけに、ゲシュタルト療法のグループは、エンカウンター・グループと比べると、よりダイナミックになりやすいところがあるでしょう。
大阪のグループ・カウンセリング(セラピー)
ゲシュタルトネットワーク関西では、毎月、大阪市内で「気づきのワークショップ」を開催しています。
個人的な気がかりや悩みを解消するきっかけとしても活用できますし、カウンセラーやセラピスト、対人援助職としての成長にも役に立ちます。職場の人間関係で悩んでいる方、子育てや結婚生活がうまくいかないと感じている方、自分の成長や変化を求めている方、教育や企業など組織に関わる場でグループについて学びたい方、カウンセラーやセラピストのスキルを高めたい方、どうぞご参加ください。
また、「グループは苦手だ」「個人的に相談したり、カウンセリングを受けたい」という方は、個人カウンセリング・セラピーからお問い合わせください。